毎日暑くて大変ですが、皆さんこまめに水分を補給しながら頑張っていきましょう!

 今回は、お客様が修理で持ち込まれたチェアの座面の修理を紹介してみます。

チェア座面修理

座面破損部写真

 一見するとどこも破損していないようですが座面の裏を見てみると座面を支える貫が破損しており、更にその上のベニアも劣化してもう寿命がきてしまっています。これらを新たに加工して、交換しなくてはいけません。

  

座面フレームから剥離

補強材加工、取り付け 座面張り地剥離

 

 

 

 

 

 

  まずは座面のフレームから座面を外していきます。(上写真左)

 次に、破損してしまっていた座面を支える貫を作り直します。そのまま一本だけではまた同じように破損してしまう恐れがあるので、3本に増やして取り付けます。(上写真中)

 今度は、座面の張り地とウレタンを剥離していきます。張り地とウレタンは、もう一度使うことになりますので破れたりしないように慎重に剥離していきます。(上写真右)

 この後、外したベニアをトレースして新たな底板を加工します。

 

ベニア交換・座面張り込み

座面張り直し完成

座面フレームにはめ込み

 

 

 

 

 

 

 新しく作製した底板にウレタンと張り地を元通り張っていきます。(上写真左・中)

 新しく張った座面をフレームにはめ込みます。上手く入りました!(上写真右)

 

座面フレームに飾り鋲で固定

座面裏側、本体に固定

 

 

 

 

 

 

 

 

  亀甲鋲を張り地の古い穴の上からずれないように打ち込み、座面をフレームに固定していきます。このとき、亀甲鋲は場所によって表面が擦れて光っている物があるので、違和感の無いように3つくらいのグループに分け、一番擦れる場所と擦れない場所、その中間と打つ位置を考えて違和感の無いように打っていきいます。たりない鋲は、新しい物を用意し、薬剤で黒く酸化させ打っていきます。(上写真左)

 これで、破損した座面の修理が出来上がりました!出来上がった座面を、椅子本体にビスで固定し完成です!!

完成!!

                         座面修理完成!!

 

 梅雨も明け、本格的な夏到来です。ここ数日は、あまりにも空の青さがクッキリ過ぎて、恐ろしいくらいです。皆さんも熱中症など気をつけてお過ごしください。

 さて、前回のキワバリ製チェアの修理の続きを紹介したいと思います。

 破損部の藤で編まれた座面を剥離し、破損していた座貫部分を確認し、破損の状態から新たなパーツを作って交換する方針で作業を進めるという所まで前回で紹介しました。 イタリアアンティーク ジェノヴァ共和国キワヴァリ製チェア 座貫き折れ修理完成!! 

イタリアアンティーク キワバリ製チェア 座貫き破損部アップ  まずは、破損してしまった貫部分を修理するためにフレームの前脚部分と後ろ脚部分とでフレームを分解しようと作業に取り掛かりました。

 し・しかーし、なんという事か150年近くも経っているかもしれないというのに、組み手が全く緩んでいません・・・。無理をして分解を試みて他の部分を破損してしまっては本末転倒です。特にキワバリの椅子は部材が華奢なだけに無理はきんもつですよねー。

 1週間ほどあーでもないこーでもないと色々試し、悩んだ結果、何とか分解せずに新しい貫を組み込む方法を決めました。

 新しく作る貫のパーツを初めから2つに分かれるように作っておき、それぞれ別々にホゾ穴に組んで、その後、2つに分割された抜きを接合してやろうという寸法です。

 言葉で書くと簡単ですが、これがなかなか難しく、この貫の部分は人が坐ったときの上からの加重と座面を藤で張ってある事による外から内側への横方向の力が相当強くかかります。この加重に耐えられる組み手をこの細いパーツに仕込まなければなりません。

 また、元々が折れてしまった貫を直すために作業しているわけですが、新しく作るパーツを2分割にするという事は、わざわざ改めて折れた状態に近い物を手間隙かけて作ることになりかねません。そうならない為にも確りとした設計と加工が必要です。

 家具の世界ではあまり使われない継ぎ手ですが、木造建築などの伝統的な継ぎ手(木の長さ方向に継ぎ足す方法)を参考に強度や作業の手間などを考慮して組み手を考えていますが、まだまだほかにも色々な方法があると思われます。この手の方法はまだまだ勉強しなければいけませんね。

貫き作製 組み手加工

貫き作製・組み手組立写真

貫き作製 組み手組立写真

 

 

 

 

 

貫き作製 成形

 破損した貫をとりあえず接着して元の形に戻し、そこから、採寸して、組み手のサイズや切れ目の位置など最も強度が取れる位置を検討し、作図します。

 その後、材の粘りを重視してブナ材を使い、木取りした長方形の部材に墨付けして、成型加工したものが上の写真3枚になります。

 クサビを打ち込むことで組手が確り組まれ緩まなくなる構造ですす。物理的な接合とさらに接着による接合を組み合わせる事で坐ったときの上からの縦の加重と、座面の張りによる外から中への横の加重に対する強度確を保しています。

  仮組みをして確り組めることを確認したら、オリジナルの抜きの形をトレースして外形と楕円ホゾを成形していきます。

 

貫き仮組み・ホゾ仕上げ加工

貫き組立接着

貫き組立・接着・仕上げ

 

 

 

 

 

 

貫き着色

  本体に何度か仮組みをして、最終的にホゾ穴にピッタリと収まるようにホゾを仕上げていきます。

 このホゾは、よくある長方形のホゾや丸ホゾとは少し違い、断面が縦長の楕円形になっています。こうする事でパーツの捩じれ方向に動く力を抑えつつ、ギリギリまでパーツのサイズを削ぎ落としたもの同士の接合でも、上手く力を分散して破損する事無く、確り接合強度が保てるような良く考えられた構造になっています。

 ホゾの加工が出来上がったところで本体にくみ上げていきます。

 接着剤が固まったところでクサビもカットし、最終的に形を整え、着色して他のパーツと違和感が無いように仕上げ、フレームの修理は完成で―す!!

 

 

貫き修理完成!!

                        フレーム修理完成!!

 

 

 この後、座面の藤の張り込みは、お世話になっている専門の藤張り職人さんにお願いする事になります。

 数日後、藤張り職人さんの所から座面が編みあがってキワヴァリ君たちが帰ってきました!!

イタリアアンティーク chiavari製チェア修理完成!! 

 遠くイタリアから旅してきた新旧2つのキワバリ製の椅子が150年のときを経てここに出会ったというわけですねー!!。もしかして、母を訪ねて3千里のマルコ少年もびっくりの時空を越えちゃったかもしれない出会いですね~ オ~ ドラマですね~ END

 

 

 今回は、イタリア アンティーク Chiavari製のチェアの修理を紹介してみようと思います。

 この椅子は、イタリアのジェノバ地方(身近なところだとイタリア料理のバジルのソース、ジェノベーゼソースの名前の由来の地域。なんと 母を訪ねて三千里 の主人公マルコもジェノバで生まれ、出稼ぎに出た母を訪ねて、1882年にアルゼンチンはブエノスアイルスまで旅をするというお話だったらい。もしかすると今回修理する椅子もマルコと同じ時代をジェノバで過していたんですかねー?)、当時のジェノバ共和国で1800年にカエターノ・デスカルツィによって創られ、カンパニーノと呼ばれた椅子の兄弟とも言える椅子で、背の形が楕円ではなく長方形になっている以外はほとんど同じデザインの物です。(下写真・右)

  カンパニーノは、なんとなんと200年以上経った今でも当時と同じデザインで作られている超ロングセラーデザインで、なんとナントなんと新品が買えてしまうのです!!下の写真で見ていただけると解ると思いますが、右がアンティークのキワヴァリ製チェアで左が現在の新品のカンパニーノです。

イタリアアンティーク ジェノバ共和国キワヴァリ製チェア 1845-1900年頃

 

 

 限界まで削ぎ落とされたプロポーションはとてもシャープな印象で、それでいてエレガントさも兼ね備えたとても素晴らしい椅子だと思います。実際の重量もとても軽く、後にジオポンティの創ったスーパーレジェーラと比較しても面白い対比です。

 見た目とても華奢なので、すぐ壊れてしまうのではないかしらんと心配になりますが、150年以上経っても確りアンティークとして残っている事実が証明しているように、ちゃんと実用強度を備えた椅子だと言う事ですね。

 また、椅子の自重がとても軽いので、倒れたりしてもほとんど大きなダメージにはなりませんし、見た目にあまりにも華奢なのと、坐った時にほんの少しだけ材がたわむ感覚などを坐る人の側で無意識のうちに感じとり、自然と丁寧に扱うように行動してしまうという部分が在るのかもしれません。

 

 

イタリアアンティーク キワバリ製チェア 1845-1900年頃

イタリアアンティーク キワバリ製チェア座貫き破損部

イタリアアンティーク キワバリ製チェア裏側

 

 

 

 

 

 

      ①                  ②                 ③ 

  イタリアアンティーク キワバリ製チェア 座貫き破損部張り剥離 イタリアアンティーク キワバリ製チェア 座貫き破損部アップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 パッとみは、藤で細かく張り込まれた座面の一部が破れている以外はどこも破損していないように見えていたのですが(上写真①②③)、残念な事に座面の向かって左側の貫きが折れてしまっていました。

 オリジナルの藤の座面が良い味になっているだけにとても無念ですが、このままでは修理することが出来ないので、藤の張りは剥いで新しく張り直す事にしました。

 とりあえず破損している貫きの部分だけを剥いで見ると、貫きの中央部分で繊維を断裂するようにポッキリ折れており、更に前脚の接合部分でも ポッキリと・・・お・おれている・・・・。(上写真2枚)

  これはめげますねー。さすがにここまでパーツ強度ギリギリまで削ぎ落とされているものでこの折れ方をしているとオリジナルパーツを修理してもう一度組み込む選択肢より、新たにパーツを製作して強度的により強い物を組み直す方が総合的にいいだろうと判断し、その方向性で作業の計画を立てていきます。

 作業工程としては、全体の不具合箇所チェック、座面より下の脚の部分で必要な箇所の分解、組み手の掃除、新たなパーツの作製、組立、座張りで完成となる予定です。

 

次回で、実際の作業工程を紹介して見ようと思います。

To be conntinued・・・・・

 

 むしむし じめじめ 梅雨真っ盛りですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 だいぶブログの更新をサボっていましたが、少しだけ作業が落ち着いてきたのでまた再開してみようと試みております。

 いよいよ このコンソールの修理も先が見えてきました。前回までで鍵や扉の修理が終わり、残るは裏板の修理だけとなりました。  

 

英国アンティークヴィクトリアンサイドキャビネット 1860年頃

  

英国AQ ヴィクトリアンサイドキャビネット1860年頃 後姿

 

 

表の状態に比べ、裏板は年代相応にだいぶ痛みが見られます。経年変化による割れや節が抜けてしまった穴、欠けて無くなってしまった部分などできるだけこの状態のままを維持しながら直していきます。

 

裏板本体より剥離 古い形状の釘 オリジナルの釘の再生

 

 

 

 

 

 

オリジナルの釘 再生前後

 まずは、裏板を丁寧に外していきます。

 ここで予想外な事に、裏板は作られてからこれまで一度も外されたことが無く、大掛かりな修理を受けていないようです!

 表側の状態があまりにも綺麗だったので何度か修理を受けているのかと思っていたのですが、なんとなんと150年近く手付かずのまま残っていた部分だったとは!!

 ちょっと触れてはいけない部分に触れてしまったのだろうか?このまま触らないで維持していくという選択肢も十分ある状況だがどうしましょう~・・

  などと悩んでしまいましたが、あまりにも状態が悪いのと作業を始めてしまったので、この際,直せる部分は確り直して、更に100年でも長生きして貰う為に最低限やれる事はやっておく事にしました。

 少し話しは飛びますが、たまにアンティーの雑誌等で修理の事やアンティーク家具の構造などに触れている記事を読んでいると、古いマイナスのネジや、古い形状の釘が使われていてなんて事が書いてあったりします。自分も勉強不足で、古いビスや釘の形状と歴史的変化や年代についてはっきりと把握できていません。色々と資料をあさってみても今のところなかなかこれと言った物にいきあたらない現状です。どなたか良い資料などご存知でしたら是非教えてください!!

 今回裏板を外して見たところ明らかに現代一般に出回っている釘とは形状の違う物が使われていたので、紹介してみようと思います。(上写真3枚) 

  現代の釘は、丸い金属の棒を加工して大量生産で効率よく作られた物で19世紀後半に一般的に使われるようになったようです。日本には1873年(明治5年)にフランスから初めて丸い胴の釘が輸入されたそうで、それまでは日本でも西洋でも鍛冶屋が作った角張った釘が使われていました。しかし、より大量生産ができる丸釘が釘世界を席巻し、角張った釘は極々一部で作られていただけで、ほとんど淘汰され消えてしまう運命をたどるのでした。トホホ・・・・

 たかが釘ですが、こんな過去をたどって今に到っているわけです。

 で、今回のサイドキャビネットの裏板はこれまで一度も外された形跡が無いので、当然作られた当時の釘が使われているということになります。イギリス現地のディーラーの言っている、1860年頃作られたと言う言葉が正しければ、当時使われていた釘の形状はこんなだよ ということで、釘に興味のあるマニアックな人向けのチョッとした資料になるのではないでしょうか?

  この古いタイプの角張った釘は、丁寧に外し、錆びて途中で折れてしまっているもの以外は、丁寧に叩き伸ばして真直ぐにして、錆び止めの油を塗って、再度裏板を止める仕事に戻って頂きましょう。

 

 

 

 前回鍵の修理を紹介したヴィクトリアンサイドキャビネットの続きです。今回は扉の修理様子を紹介してみます。

 

英国アンティーク ヴィクトリアンサイドキャビネット修理途中

 

 鍵を修理して扉を本体にはめてみようと思ったところ、やな物を発見してしまいました。

 アンティークの扉には、最近の日本の家具ではほとんど見かけないピポットヒンジと呼ばれるパーツで開閉できるようになっている物がよく在り、これが今回も使われています。

 これはオスメス一対で使われるものなのですが(下写真・中)、なぜか3枚の全ての扉で上部に付いているパーツはペアで使われているのに、下側のパーツは本来の使い方とは違うメスだけを本体にビス止めしてそのビスを軸に扉を回転させる仕様になっていました(下写真・左・右)。

 

ピポットヒンジ

ピポットヒンジ凸凹ペア

不具合の原因

 

 

 

 

 

 

磨耗してしまった木部

 なぜこのような使い方をしたのか?今となってはなぞですが、この部分が永年の使用により、ネジ周辺の木部が磨耗して、穴が大きくなりガタツキが出ていました(左写真)。さらに、フレームの収縮により変形した扉と本体が接触してしまっており、これらが相まって扉開閉不調が起きていました。

 まずは、不具合の原因が解ったので、たりないパーツを新たに作製し、本来のピポットヒンジの使い方に変更・調整し直していこうと思います。

 

 

 

ピポットヒンジオス側作成 ピポットヒンジ軸取り付け カシメ部仕上げ

 

 

 

 

 

 

  ピポットヒンジ凸作成       軸をカシメて取り付け       カシメ部仕上げ

 

薬品によって腐食処理  ビスを止めて使われていたパーツをそのまま流用し真鍮の棒を取り付けてピンを成形し、オス側のパーツを3つ作製します。

 真鍮のピンを穴に差込み、裏から確りカシメて取り付けます(上写真・中)。

 確りピンが固定されてところで、余分な部分を金ヤスリで平に仕上げて(上写真・右)、薬品で腐食させ色を合わせます(左写真)。

 これでピポットヒンジの凸側が出来上がりました!

 

ピポットヒンジ凹側作成・真鍮切り出し ピポットヒンジ凹側作成・成形・穴あけ加工

ピポットヒンジ凹側作成・断面形状

 

 

 

 

 

 

 今度は、凹側のヒンジを作製していきます。ピポットヒンジは形状的にはとても単純で、ピンの刺さる穴とビス穴を細長い板に開けるだけの加工なので比較的楽に作る事が出来ます。

 オリジナルのヒンジの厚みと同じ真鍮板を用意します。今回は手持ちの真鍮板が薄いものだったので、ストックパーツの中から丁度良い厚みの古い兆番を見つけ出し、これをカットして作成する事にします(上写真・左)。

 真鍮にサイズ・穴の位置をケガいて、大きいパーツの状態で穴あけ加工し、その後、糸鋸で切り出し、グラインダーとダイヤモンド砥石を使って平面出し・成形していきます(写真・中)。

 チョッとしたコツとして、作製パーツの断面形状が台形になるように、裏面に向かって少し小さく作っておくと、後で本体に四角い穴を掘って埋め込むときに、少し小さい裏側をガイドに直接本体にケガいてノミなどで穴を堀り、ヒンジをはめ込んで微調整してやると、隙間なく上手く仕込むことが出来ます。(上写真・右)。

 

ピポットヒンジ凹側本体に取り付け

 本体に扉を何度か仮組みをして、扉がフレームと干渉しない位置を割り出し、作製した凹側ヒンジを仕込みます。

  これで扉の不調も解消されました。やはり扉がピシッと決まると気持ちいいものですね!

 

 

 

 ヴィクトリアン サイドキャビネットの修理もだいぶ進んできました。表から見える部分は大体終わったので、次回は裏板の修理から出来上がりまでを紹介してみようと思います。

 今朝、ヨーロッパからのアンティークを中心に現代物のオランダのソファーやオークの無垢のドア等ニューアイテムを混載したコンテナが届きました。さいわい最高の晴天に恵まれ、朝8時から社員総出で荷降ろし・開梱・展示汗だくになりながら、何とか3時半頃無事納めきる事が出来ました。

 

 入荷前にはある程度写真でどんなアイテムが入ってくるのか知ってはいるのですが、やはり開梱して実際対面するときはわくわくしますね~。今回はどんな奴らが入ってきたのか後でじっくり楽しみますか!

 

入荷アイテム開梱作業風景

                         開梱作業風景

アンティーク ウィンザーチェア 1880年頃 

各種アンティークアイテム

 

 

 

 

 

 

 

 

アンティークウィンザーチェア1880年頃       英国・フランスアンティーク達

 

英国アンティーク チュダー様式パネル 1830年頃 オーク

フランスアンティーク ベットフレーム オーク材ドア  

 

 

 

 

 

 

 

英国アンティークチューダー様式パネル     アンティーベットフレーム&オークドア

 

フランスアンティーク ルスティックアームチェア 

胸像・その他小物アイテム

 

 

 

 

 

 

 

 

春真っ盛り・桜吹雪と新緑です

 お店の前の東京工科大学の桜も今日の陽気でほとんど桜吹雪になって散ってしまいました。代わりに芽吹いてきた新緑との色合いもなかなか素敵です。

 いよいよ本格的に春です!!頑張るぞ日本!!

 

 

 

 今回は、全体が瘤の突き板(木目の面白い木などを薄くスライスした物)で装飾され、そこに象嵌の模様がセンス良く入ったのサイドキャビネットの修理を紹介したいと思います。

 

  英国アンティーク ヴィクトリアンサイドキャビネット 1860年頃 修理済み

 

 修理箇所としては、表面の突き板の状態は割と良く、所々膠(にかわ)がきれて浮いている部分があったので再接着・フレンチポリッシュで仕上げ程度ですみましたが、扉の開閉の調子が悪く、鍵もどうもおかしくなっており、更に裏板に至っては結構ボロボロになっていました。

 また、大理石の天板の後ろ端部分に飾りか何か乗っていた痕跡があり、裏板にも両端で裏から支えの部材を止めていた痕跡がうかがえます。今となってはどんな形状の物が乗っていたのか、想像するしかないですが、資料を見ているうちにヒントになるような似たデザインのキャビネットに出会えればいいなと楽しみです。

 まずは簡単に手のつけられる鍵部分から様子を見ていこうと思います。

 

鍵取り外し

鍵取り外し後、内側

鍵センターピン作成

 

 

 

 

 

 

 扉を外し、鍵を外してみます。キャビネットの表側木部などは何度か修理を受けているのか、手入れが行き届いていたのか年代の割にとても状態が良かったのですが鍵は錆びも浮きまくり、この部分だけとても古さを感じさせる状態です・・・。

 とりあえず錆びを磨きながら機械部分をチェックしていきます。幸な事に内部の機械部分はそれほど腐食が進んでおらず、バネなども確りしていて、油をさして上手く稼動するかためしてみたところ不具合もなさそうです。

 ただ、キイの位置を保持するセンターピンが欠損してしまっています。この部分は、キイの抜き差しで斜めに力が掛かったりと、一番使用による疲労が出やすい部分です。新たに作製して取り付けてあげましょう。

 キイの穴より太目の針金からパーツを作製していきます。

 針金は軟鉄で比較的柔らかく加工が簡単な半面、そのままでは強度が少したりません。これを改善する為にチョッとした加工を加えます。金属は、冷えたままで金槌などで何度も叩いて圧力を加えてやる(冷間鍛造といいます)と硬くなる性質があります。この性質を利用して、針金を叩いて真直ぐに形を整えると共に、太さを丁度良い太さまでおとしながら使用に耐える硬さにしていきます。その後、鍵本体の取り付け穴にピッタリはまるように片方の端を精密やすりなどを使って加工していきます。

 このとき、段々細くしてやるのではなく、確りと水平な段差をつけて加工することにより、取り付けたときにこの部分が胴つきの役目を果たし、ピンを確り支えてくれるのでピンをただ差し込んでかかしめた場合に比べて格段に強度が上がります。(上写真・右)

 

センターピンはめ込み

裏から見たところ

かしめて固定

 

 

 

 

 

 

  鍵完成!

鍵本体の穴にピッタリ収まるようにピンが加工できたら取り付けに入ります。本体の取り付け穴に差込み、十分にかしめしろ分飛び出しているか確かめます。(上写真・左)

 金床の上に置き、ピンが垂直に固定されるように調整しながら裏から金槌で叩き飛び出しているピンを潰してかしめていきます 。確りかしめてやればロウ付け無しでも確り固定する事ができます。(上写真・右)

 その後、かしめた部分をヤスリで整え、薬品で軽く腐食させて違和感がない様に仕上げます。

 

  表面のピン先も潰れているので忘れずにヤスリで整え、鍵の修理は完成です!

 この後、扉に取り付けて、キイを差込上手く稼動する事を確かめ、今度は、扉を本体に取り付け、カギの爪が上手く掛かるように調整し、鍵の修理は終了となります。動かなかった鍵が上手く"カチャリ"とかかったときはなかなかの喜びなのです。

次回は、扉の兆番作製と調整の様子を紹介してみようと思います。

 今回は、少し前になりますがお客様が持ち込まれたウィンザーチェアの修理の様子を紹介してみようと思います。

 お客様が修理の相談にお持ちになった椅子は2脚あり、それぞれに破損しており、1脚は一度修理?が施されているようで、脚の向きが間違っていたり、座面の割れも中途半端に接着したまま固まってしまっていました。このような状態になってしまっていると、新しく接着されているので接着部分を綺麗に剥がし、元通りに直すには相当の手間がかかります。料金もその分余計に掛かってしまうので、お客様と相談の結果、直しやすい方の椅子を直し、残念ですが片方の椅子は、使える部品を移植して活かしてあげようという事になりました。

 

 

ウィンザーチェア 修理完成写真

                          完成写真

  

  ウィンザーチェア 修理前写真

                        修理前写真

 

修理前破損部

修理前破損部 座面割れ修理痕

修理前破損部 

 

 

 

 

 

 スピンドル折れ部分        座面割れ補修痕        スピンドル折れ部分

 

分解 各パーツ分解

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずは、パーツの組み手に番号をつけて、ショックレスハンマーなどを使って分解していきます。このとき接着剤が確り効いている部分は無理に分解しない事がポイントです。あまり深追いすると破損してしまいます。直してるんだか壊してるんだかわからないと言った本末転倒な事になりかねません。

 分解後、各パーツの組み手に付いた古い接着剤などをノミなどを使って綺麗に掃除していきます。

 破損しているパーツでもう一脚から移植できる物は移植し、残りの破損部を再生していきます。

スピンドルホゾ破損部 破損部カット 接木パーツ接着

 

 

 

 

 

 

 上の左側の写真は、破損してしまったスピンドルの丸ホゾ部分ですが、破損部には既に接着剤が付いており、折れてしまった先の部分もホゾ穴の中に埋もれてしまっています。元のパーツでの再生は諦め、新たな材を接木して再生することにします。

 折れてしまった部分ギリギリで、スピンドルの中心線に対して垂直な面になるようにカットします。カットした面が接着面となるので、機械を使って正確な平面が出るようにセットしカットします。(上写真・中)

 カットした面に大きめに木取りした接木パーツをまずはそのまま接着します。

 

 

 

 

皆さんご無事だったでしょうか?

今まで体験した一番の揺れでした。

まだまだ余震が続いています。

 

お店では、フロアランプやキャビネットなど幾つか破損がありましたが、揺れのわりにはさほどの被害ではなかったのでほっとしております。

 

今ニュースで津波や落下物の被害にあった方がいらっしゃるという報道がされています。

 

想像以上に大きな被害が出ているようです。

 

友人のみんなは、無事なんだろうか?

 

皆さんの周りの方々も無事でありますように。

なるだけ小さな被害ですむように、みんな無事でありますようにと願うばかりです。

 今回は、フランスアンティーク ルイ15世様式のヴィトリ-ン(ガラス張りショウケース)の修理を紹介します。

 このヴィトーリーンは、真鍮製の装飾やパネルの手書きの絵、サイズも大きすぎず使い勝手も良さそうな、なかなか魅力的な家具で状態も良かったのですが、唯一致命的なケガを負っていました。入荷時には既に向かって右の後ろ脚がポッキリと折れてしまっており、辛うじて真鍮の飾りで繋がっているというありさま・・・。もちろん自立できないので展示も出来ず、同期入荷のほかの人たちに遅れをとってしまっていました。

 やっと、修理の順番が廻ってきたので、確り直してやりたいと思います。

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 ヴィトリ-ン

 

装飾絵

装飾 側面絵

金属装飾

 

 

 

 

 

 

 

修理開始

 フランスアンティーク ヴィトリ-ン 後ろ脚 破損部 アップ

フランスアンティーク ルイ15世様式 ヴィトリ-ン 脚分解

 

 

 

 

 

 

 まずは、破損している右後ろ脚から修理していこうと思います。扉を外し、手術台の上に仰向けに寝ていただきます(上写真・左)。

 破損部を見てみると、脚の付け根部分からポッキリと完全に折れてしまっています。さてさて、どうしてくれようか?(上写真・中)。

 このままでは、作業しづらいので、バックパネルや飾りやらなにやら外せる物は外して分解していきます。外していくと、運が良い事にこの部分のパーツはビスにより接合されていて、割と簡単に分解する事が出来て、何とか加工できる状態にまでは割と短時間でたどり着く事が出来ました(上写真・右)

 

  フランスアンティーク ルイ15世様式 ヴィトリ-ン 破損部接着                 フランスアンティーク ルイ15世様式 ヴィトリ-ン 接木用溝加工                    接木材料加工 ブナ  

 

 

 

 

 

  破損部を綺麗に掃除して、傷口がピッタリ合うように調整します。何度か仮組みを行い、上手くピッタリ合うようになったら、破損部を一旦そのまま接着します。このとき材料が曲がっていたり、おかしな歪みが出ないように確り調整して接着します。(上写真・左)。

 はみ出た接着剤などを綺麗に処理して、この段階で形としては確り直った状態にまで仕上げておきます。しかし、木目が断裂するように折れてしまっている今回のような場合、接着だけでは実用強度は確保する事が出来ません。したがってこの後、この部分を補強する加工を施していきます。

 どのような方法で補強を行なうか検討の結果、接木をして断裂してしまった繊維の部分をできるだけ補い、接木する部材と本体との接合は、機械加工で制度の高い接着面を広く確保する事で、十分に強度が取れるようにしていきます。

 更に、接木する材料についても、曲げ木などの材料に使われるブナ材を選びました。ブナ材は、折れる方向に働く力に対しての応力がとても強い粘りのある材料です。また、オリジナルの脚の一部にも使われているので(上写真・左の足の凸のRのついた部分、少し色が違う部分なのですが、わかるでしょうか?)今回の接木の材料としてはうってつけの素材です。

接木パーツ 成形

接木接着

脚折れ修理完了。

 

 

 

 

 

 

 接木するパーツを木取りし、大まかに成形して接着していきます(上写真・左・中)。

 接着が固まったら綺麗に成形して、新たなビス穴など加工し着色していきます(上写真・右)。

 

脚折れ修理 患部手術完了!

 

 調色後、軽くシェラックで塗装して破損部の修理完了です!!元通りの強度とはいかないかもしれませんが、それに近い強さにはなっています。正常な使い方では全く問題ないでしょう。

 

 

組立

扉鍵本体

キイ作製

 

 

 

 

 

 

 一番大変な治療は終わったので、細かいところを直しながら外したパーツを組み立てていきます(上写真・左)。

 最後に、扉を仕込み、鍵をかけようと思ったら、着いていた鍵が全く合ってないでは有りませんか! 

 まー良くある事なのですが、引き手が付いておらず、鍵を引き手代わりにして開閉するタイプの扉の場合、キイが無くなってしまうと開け閉めできなくなるので、とりあえず鍵穴に刺さるキイで代用して扉の開け閉めはするけど、鍵はかけませ~ん!という状態の物が結構あります(と言うかほとんどが合ってるキイ付いてる事がない~)。

 仕方がないので、手持ちのストックで新たにキイを作って(上写真・中・右)扉に取り付け、やっと完成でーす!!

 

 長いこと待たせてしまいましたが、これでやっとお披露目する事が出来ます。後は気に入ってくれる人との出会いを待ちわびながら、お店で頑張っていただきましょう。

最近のコメント

アイテム

  • 完成!!
  • 座面裏側、本体に固定
  • 座面フレームにはめ込み
  • 座面フレームに飾り鋲で固定
  • 座面張り直し完成
  • ベニア交換・座面張り込み
  • 座面張り地剥離
  • 補強材加工、取り付け
  • 座面フレームから剥離
  • 座面破損部写真

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。