梅雨も明け、本格的な夏到来です。ここ数日は、あまりにも空の青さがクッキリ過ぎて、恐ろしいくらいです。皆さんも熱中症など気をつけてお過ごしください。
さて、前回のキワバリ製チェアの修理の続きを紹介したいと思います。
破損部の藤で編まれた座面を剥離し、破損していた座貫部分を確認し、破損の状態から新たなパーツを作って交換する方針で作業を進めるという所まで前回で紹介しました。
まずは、破損してしまった貫部分を修理するためにフレームの前脚部分と後ろ脚部分とでフレームを分解しようと作業に取り掛かりました。
し・しかーし、なんという事か150年近くも経っているかもしれないというのに、組み手が全く緩んでいません・・・。無理をして分解を試みて他の部分を破損してしまっては本末転倒です。特にキワバリの椅子は部材が華奢なだけに無理はきんもつですよねー。
1週間ほどあーでもないこーでもないと色々試し、悩んだ結果、何とか分解せずに新しい貫を組み込む方法を決めました。
新しく作る貫のパーツを初めから2つに分かれるように作っておき、それぞれ別々にホゾ穴に組んで、その後、2つに分割された抜きを接合してやろうという寸法です。
言葉で書くと簡単ですが、これがなかなか難しく、この貫の部分は人が坐ったときの上からの加重と座面を藤で張ってある事による外から内側への横方向の力が相当強くかかります。この加重に耐えられる組み手をこの細いパーツに仕込まなければなりません。
また、元々が折れてしまった貫を直すために作業しているわけですが、新しく作るパーツを2分割にするという事は、わざわざ改めて折れた状態に近い物を手間隙かけて作ることになりかねません。そうならない為にも確りとした設計と加工が必要です。
家具の世界ではあまり使われない継ぎ手ですが、木造建築などの伝統的な継ぎ手(木の長さ方向に継ぎ足す方法)を参考に強度や作業の手間などを考慮して組み手を考えていますが、まだまだほかにも色々な方法があると思われます。この手の方法はまだまだ勉強しなければいけませんね。




破損した貫をとりあえず接着して元の形に戻し、そこから、採寸して、組み手のサイズや切れ目の位置など最も強度が取れる位置を検討し、作図します。
その後、材の粘りを重視してブナ材を使い、木取りした長方形の部材に墨付けして、成型加工したものが上の写真3枚になります。
クサビを打ち込むことで組手が確り組まれ緩まなくなる構造ですす。物理的な接合とさらに接着による接合を組み合わせる事で坐ったときの上からの縦の加重と、座面の張りによる外から中への横の加重に対する強度確を保しています。
仮組みをして確り組めることを確認したら、オリジナルの抜きの形をトレースして外形と楕円ホゾを成形していきます。




本体に何度か仮組みをして、最終的にホゾ穴にピッタリと収まるようにホゾを仕上げていきます。
このホゾは、よくある長方形のホゾや丸ホゾとは少し違い、断面が縦長の楕円形になっています。こうする事でパーツの捩じれ方向に動く力を抑えつつ、ギリギリまでパーツのサイズを削ぎ落としたもの同士の接合でも、上手く力を分散して破損する事無く、確り接合強度が保てるような良く考えられた構造になっています。
ホゾの加工が出来上がったところで本体にくみ上げていきます。
接着剤が固まったところでクサビもカットし、最終的に形を整え、着色して他のパーツと違和感が無いように仕上げ、フレームの修理は完成で―す!!

フレーム修理完成!!
この後、座面の藤の張り込みは、お世話になっている専門の藤張り職人さんにお願いする事になります。
数日後、藤張り職人さんの所から座面が編みあがってキワヴァリ君たちが帰ってきました!!
遠くイタリアから旅してきた新旧2つのキワバリ製の椅子が150年のときを経てここに出会ったというわけですねー!!。もしかして、母を訪ねて3千里のマルコ少年もびっくりの時空を越えちゃったかもしれない出会いですね~ オ~ ドラマですね~ END
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