今回は、お客様がお使いになっているアールデコチェアの座面張替え依頼でお預かりした椅子、6脚の作業の様子を紹介してみようと思います。

 

フランスアンティーク アールデコチェア 張替え  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え    

こちらのアールデコチェア座面の革、個人的好みからいうと 使い込まれて自然に磨かれた艶の具合、色のムラ感・銀面の剥げ具合といい 使い込まれた革物アンティークの"味"としては、今が一番いい具合なところ!!と思うのですが、残念ながらあちらこちら破れが出てきていて、底板も抜けてしまっている物もあるということで、張替えとあいなりました。   

今回、座面剥離・フレーム不具合修復・底板取付までを私・木村が担当し、座の張りは横山家具専属で受けてくださっている張替え専門の職人さんにお願いするという形で作業していきます。

フランスアンティーク アールデコチェア 張替え  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え

 まずは、座面にカッターを入れ手っ取り早く座面を剥がしていきます。

一番表に革、中張り、綿という構成で座面が作られていました。

その後、鋲と釘を取り除いていきます。この仕事が一番大変です。

今回びっくりしたのは、座面を剥離してみると、座面を受ける底板部分が0.6ミリ厚の鉄板を使っていたことです。裏から見ると底の部分は鉄板に布が張ってあったので、剥がしてみるまで気がつきませんでした。

今までに数十脚はアールデコ期の椅子を手掛けてきましたが、底板が鉄板でできている物は初経験でした。

アンティークの椅子でコイルバネを使わず座面を張る場合良く使われている方法としては、ウェビングテープという麻などの繊維でできた非常に強度のある物を編みこんでフレームに張り込む方法、5ミリ前後の積層の板(いわゆるベニア板)をフレームに張ったものの上に座面を仕込んでいく方法、などが有ります。

 

 

 

フランスアンティーク アールデコチェア 張替え  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え        

  

 鉄板の底板初経験でしたので、このやり方で100年近く使用した結果と強度・不具合など評価しておこうと思います。

 

 0.6ミリ厚の鉄板を底板に使用した場合(鉄板の硬度や成分・物性は不明)

 

 6脚お預かりした内、底板部分に何の不具合も見られなかった物が2脚。

 まだ使用可能な状態ではあるが、一部に亀裂などが入り劣化の進行が見られる物が2脚。

 底が抜けた状態になり取り替える必要がある物が2脚。

 強度的には(自分の経験からくる個人的な評価でしか有りませんが)、ウェビングテープやベニアの底板とほぼ同等の強度と耐用年数が有ると思われます。

 

 破損原因を観察してみると、大きく2つの要因で破損が起こっている様子がみうけられます。

 1つは、椅子を踏み台代わりにして座面の上に立ってしまった等、極端な加重によって鉄板を止めている釘の部分で鉄板がちぎれたり、釘の頭が抜けてしまったりしてフレームから外れてしまう破損。

 もう1つは、鉄板を止める釘の間隔が一箇所だけ広いなどの原因で張力のバランスが崩れ、鉄板に歪みが生じるとその部分に折癖が付き、使用により繰り返し荷重がかかることによって亀裂が入ってしまう破損。

 

 これらを考慮して鉄板を底板に使う場合の注意点や長所・短所をまとめてみると、

 ・鉄板を使った場合他の方法に比べて有利な点としては、厚みが薄くかつ固定する時にもかさばらないので、座面を張り込むスペースが限られていたり、厚みが出てしまうと不都合な場合などに有効。

 ・歪みが出やすいと想像される大きな面積の座面にはむかず、サイドチェアなどの面積の小さい歪みの出にくい座面むき(鉄板の厚みを増せば広い座面も可能かも?)。

 ・本来 空気ぬきの穴が必要と思われるが、穴の部分からの亀裂が入る可能性も考えられる為検討が必要。

  穴を開けなかった場合、合皮などの空気を通さない張り地を使うと、音が出たり、座面が膨らまなかったりとといった不具合が予想される。

 ・固定する時に、釘で止める間隔を細かめに一定の幅にそろえバランスよく加重を分散し、歪みが出ない様注意する。

 ・釘は、鉄板の端ぎりぎりに狙いすぎず、ある程度の加重にも千切れない強度が保てる範囲で均一な距離・間隔でバランスよく止める。

 ・使う釘は頭が飛びにくい物で錆びないステンレスの物が良いように思われる。

 ・今回のオリジナルの物は錆止め処理されていない鉄板で、錆の発生が広範囲に見られるため為(特に釘打ちされた部分)、メッキもしくは塗装等の錆び止め処理された鉄板を使用する。

 

 

  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え  フランスアンティーク アールデコチェア 張替え        

 前記のことを考慮したうえで底板を新しい鉄板に交換していきます。

 今回使う鉄板は、強度的にオリジナルの鉄板に近いと思われる0.6ミリ 亜鉛メッキ鋼板塗装済みの物を使用しました。これで錆はだいぶ防げると思います。後は錆対策としては高価ですがステンレス板を使う方法もあると思います。

 オリジナルの底板から形を書き写し、金バサミで切り出した鉄板に布を張り、フレームに取り付ける準備がほぼ整いました。

   フランスアンティーク アールデコチェア 張替え        

 割れや、組手の緩みなどの不具合をチェック・対処して全体をクリーニング後、オリジナルの底板で100年近く使用して起きた不具合を検討した結果を踏まえて、鉄板をステンレス釘で止めていきます。

 この後、椅子張りの職人さんにバトンタッチです!!

 

 

 

 

 今回は、こちらの椅子の紹介です。

 フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ

 

 フランスアンティーク ルイ15世様式 プロヴァンスフォテイユ。

 

 もうちょっと砕けた感じでいいますと、フランス プロバンス地方の田舎風 猫脚 肘掛け椅子 てな感じですか。

 

 私、行ったことはないのですが、非常に行ってみたいですプロバンス!!

  なんだか憧れちゃう響きです。

  フランス南東部 地中海性気候のカラッとした強烈な日差しと、歴史ある石造りの白い町並み、情緒ある片田舎  ンン~ いいですね~勝手な妄想が膨らみますねー。

 

  そんなあこがれちゃう地方の名前で呼ばれるスタイルのこちらの椅子。座面は、低めのラッシュシートでとても座り心地がよく、フレームはブナ材でとてもいい感じにあめ色に輝いています。

 全体のバランスも低めで、この椅子に座ってきっちり何かするというよりは、午後の一時をのんびりまったり、ゆっくり時間が流れるのを楽しむといったような印象のある椅子です。

 

  

 フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ   フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ  フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ        

 

 

 provincil louis XV style rush seated armchair

材:beeh

w:550  d:550  h:780  sh:430

stock:  2

 

 

 

フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ  フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ

 6本入荷したのですが、1本はなぜかアームの付け根に白いテープが巻かれていました。初めは、気にしていなかったのですが、改めて状態を確認していくと   ゲ・ゲゲゲー!!

テープの下でポッキリ折れてしまっているではないですかー!!やられたー

折れてしまった物は仕方がない・・・。きっちり直っていただきましょう!

まづは、蒸気で膠を溶かして慎重に組手を分解していきます。破損して穴に埋まってしまっている部分も何とか綺麗に救出することができました。今回は、オリジナルのパーツを使って修復していくことができそうです。

 

フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ  フランス

 破損したパーツが綺麗に外れたので、破損断面を調整し、折れる前の形位置にきちっと収まって密着するようにして接着します。

しかし、今回の様に繊維を断裂する様に折れてしまっている場合、接着剤の接着力だけでは使用に耐えられる強度は得られません。

したがって何らかの補強が必要になります。

パーツの形状や、部位、使用時の力のかかり方など色々な条件を考慮して、どの様な方法を取るのが一番良いのか決めなければなりません。

ここが今回の修復の山場です。

今回は、オリジナルパーツが綺麗に取り付けられる状態で残っており、部材自体の強度も確りあったので、よく使われる手法のダボ継ぎで補強することに決定いたしました。

決まってしまえば、後は作業を進めていきます。

ドリルでダボ穴を開けます。

フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ  フランスアンティーク プロヴァンスフォテイユ

 穴が長いので、接着材の膠が逃げる工夫をしておかないと いざ湯煎した膠をダボと穴の中に塗ってダボを差し込んでも、密閉された穴の中の膠と空気が邪魔をしてダボが根本まで入らなくなってしまいます。

穴の先の位置を測って組み立てたときに一番目立たない場所から小さな穴を貫通させておきます。

さらにダボ側にも側面に4本ほど彫刻刀で膠の逃げる溝を掘っておきます。

準備ができましたので、ダボを差し込んで接着!!

膠が固まった所で、整形・調整して、全体を組立・接着・手直しをして完成となります!!。

 

 

 

 

 今回はイギリスアンティークのテーブルを紹介したいと思います。!

こちらのエクステンションテーブルのお勧めは、大きさ感がなんかいい!!というところです!!

高さ720ミリ、幅900ミリと割と標準的ですが、長さが1120~1475ミリと小さめで、うちに入荷してくるアンティークのテーブルとしてはとても珍しいサイズです。

一人で使うにはちょっと大きいサイズかもしれませんが、ご夫婦2人家族やエクステンションを入れれば4人で食事するにはちょうど良いサイズ。

レストランやカフェ、ショップディスプレイ等にも使いやすそうなサイズなのでは!

 

 

 イギリスアンティーク エクステンションテーブル オーク  DSCN2113.JPG                                

 

 イギリスアンティーク エクステンションテーブル オーク

 

 

イギリスアンティーク エクステンションテーブル オーク  イギリスアンティーク エクステンションテーブル オーク 

脚の組手が膠が切れてぐらついているのと、天板の剥ぎ面が長年の材料の経年変化と膠の寿命で剥がれ始めていました。

分解して直していきます。

 

 

イギリスアンティーク エクステンションテーブル オーク 

天板の接ぎ面切れは接着面の古い膠を綺麗に落とし、密着するように接ぎ面を調整しなおして、再度接着していきます。

脚の方の写真をとり忘れてしまいましたが、いつものように、分解して組手を掃除し、各パーツ調整後膠で接着していきます。

 

 

  今回は、フランスアンティーク スガベルロの修復を紹介します。

 15世紀イタリア・ルネサンス頃に登場したスタイルのこの椅子。SUGABELLOはスツールを意味するイタリア語です。当時としては、ポピュラーな種類のサイドチェアとして使われていたようです。材としてはウォールナットが多く使われていました。ラテンの血の流れをくむ背付きスツールであるスガベルロ。大まかな特徴としては、板座に板組みの背・板組みの脚が付き、板座・脚と背には装飾的な象嵌や彫刻などが施されています。

 ルネサンス初期の頃は、象嵌装飾が良く使われ、彫刻はそれほどでもなかったようですが、ルネサンス最盛期から終盤にかけては、より装飾的で精巧な彫刻が施されるようになっていきました。 

  似た構造・形の物にペザントチェアと呼ばれる物があります。こちらは、農民などが自分たちの生活の中で作って使っていた民芸家具がルーツで、彫刻もそれほど過剰になり過ぎる事なく実用的な物が多い。

 一方、スガベルロチェアは、どちらかといえば貴族や富裕層など上流階級の人たちの椅子ということで、権威的な部分が強く現れ、見た目重視・装飾華美的である。

 といった具合でスガベルロ、ペザントチェアそれぞれの椅子の持つ作られ始めた歴史や生活様式・文化的背景による違いが有ります。

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復

 今回修復したこちらの椅子、スガベルロとしては、割とおとなしめですが、それでもすばらしい彫刻がウォールナット材に彫られています。

 ひどい損傷は見られませんでしたが、全体的にぐらぐらで、今手を入れないと大きく破損してしまいそうな状態でした。

 一度、全分解して、確りと修復しておくことにいました。

 

 フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  

 フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復

 

 分解していくと、やはりあちこち割れや細かい破損、経年変化による材料の縮み・不具合が見られました。

 これ以上ダメージを与えないように丁寧に分解し、各パーツを修復していきます。

 

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復

  背板の一番上部スクロール部分が片方欠損していました。目立つ所なので再生していきます。

 いつものように、傷口の面を接ぎ木し易い様に最小限整え、ストックしてあるアンティークのパーツの中から木目の合うウォールナット材を探し、木目の方向をそろえ接木します。

 残っている反対側のスクロールの彫刻から型紙をおこし、墨つけ、鋸で荒くカットします。

 スクロール部分も、残っている部分を参考に、彫刻の下書きをしていきます。

 

 

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復

  左右のバランス等見ながら慎重に彫刻を掘り進めて生きます。

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復          

  整形、仕上げが終わったところで、胡桃を煮詰めて作ったヴァンダイクという染料で着色、セラックで塗装後表情・雰囲気を合わせていきます。

   

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復

 色々はしょってしまいますが、各パーツの修復が終わった所で、 いよいよ組立に入ります。

 膠を使って、まずは脚部分を組立・接着、脚が固まった所で座面を組立てていきます。

 

 

DSCN2834.JPG

 背を取り付けて、全体に手直し、ワックスアップして完成でーす!!

 

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復  

  

フランスアンティーク sgabello chair 1900年頃 修復 

前回のNO、1でフレーム修理まで紹介しましたので、座面の張り込み作業の紹介をしていきたいと思います。

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復

,まずは、座面の裏から、座面全体を支えるウェビングテープを張っていきます。

次にバネを麻糸でウェビングテープに縫いとめます。

バネ上部を麻紐で縛り、バネが所定の高さや・位置で収まったままでいる様に、またテンションが常に一定量かかった状態になる様に調整しながら固定していきます。

 

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復! NO,1

 バネの上に目の詰まったヘッシャンクロスを張り、バネを麻糸で縫い上げ固定していきます。

 

 

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復  フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復

 今回は、オリジナルの詰め物の状態がよかったので少し馬毛を足して調整し、新しいへッシャンクロス(目が粗め)を被せ、縫い上げて整形していきます。

 新たに馬毛を仕込んで土手縫い・整形するのに比べるとこの方法は、色々とメリットがあります。

 すでに形が出来上がっているので相当の時間短縮が図れる上に、使い込まれていい感じになじんだ状態でありながら、使われている素材は、劣化していない新品という まさにいいとこ取り!!

 そして、貴重な素材もリサイクルできてとってもエコロジー!!。

 現代のウレタンフォームをアンコに使った椅子では絶対に味わえない座り心地なんですよねー!

 

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復  フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復 

  縫い上げたアンコの上にさらに馬毛を仕込んでいきます。

 これも元々使われていた馬毛をほぐした物に、新たな馬毛を足して調整していきます。

 この上に、白い中張りを張り込みます。

 

 

フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復  フランスアンティーク ルイ15世様式 サイドチェア 1900年頃 修復

 中張り上に綿を敷いていよいよ表地を張っていきます。

最後にギンプで縁取りして完成でーす!!

 

 すっかり綺麗になって お店で運命の方のお越しをお待ちしておりまーす!!